
マーケティング心理学とは、お客様がどんな気持ちで商品を選び、買うか買わないかを決めるのか(購買心理)を知って、商品の見せ方や伝え方に生かす考え方です。マーケティングでよく「行動心理学」として紹介される、心理学や行動経済学(人が実際にどう選ぶのかを、心の動きも含めて調べる学問)の研究も、その手がかりになります。
この記事では、お客様の購買心理を5つの基本ルール(お客様は理性的ではない・感情と衝動で行動する・迷いたくない・リスクが嫌い・外国人である)にまとめ、それぞれを販売ページや商品説明にどう生かすかを、例文とエクササイズつきで解説します。
例文の商品や数字は、書き方を見せるための例です。使うときは、あなたの商品で本当に言えることに置きかえてください(「○」や「20XX年」は、実際の数や時期を入れる印です。その事実がないときは、その文ごと使いません)。
【2026年9月の更新】この記事は2024年3月に書いたものです。お手本として紹介していた例文の中に、広告の決まりに照らして問題になりうるもの(化粧品で「若返る」「シワが減る」とうたう例、ダイエット食品で体型の変化をうたう例など)があったため、事実で書ける例文に差し替えました。あわせて、「選択のパラドックス」などの説明を研究の資料に合わせて訂正し、期間限定・返金保証・インフルエンサー・お客様の声を使うときの注意を加えました。
はじめに
マーケティングの世界で成功を収めるには、単に商品やサービスの品質を高めるだけでは十分ではありません。
真の意味で売上アップを実現するためには、お客様の心理を深く理解し、マーケティング戦略に活かすことが不可欠です。
つまり、マーケティングマインドセットと心理学の知識を融合させることが、ビジネス成長のカギを握っているのです。
売上を伸ばすための考え方(マインドセット)は、マーケティングの考え方(マインドセット)5つの記事にまとめています。この記事では、その考え方を持ったうえで知っておきたい、お客様の心の中で起きていること(購買心理)のほうを見ていきます。
しかし、「マーケティング心理学」と聞いて、難しそうだと感じる方も多いのではないでしょうか。
確かに、消費者心理の奥深さを完全に理解するには時間がかかるかもしれません。
だからこそ、本記事では、マーケティング心理学の基本ルールに焦点を当てて、わかりやすく解説していきます。
この記事を最後まで読むことで、あなたは以下のような知識やスキルを身につけることができるでしょう。
- 感情に訴求する効果的なマーケティング手法
- お客様の購買行動のきっかけになる心理
- 選択肢が多すぎて迷わせない、シンプルな商品の見せ方
- お客様の不安を小さくするオファー(申し込みの条件)の考え方
- 具体的で明確なコミュニケーションの重要性
マーケティング活動に行き詰まりを感じている方、売上を伸ばしたいと考えている方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
マーケティング心理学の考え方を知っておけば、お客様の気持ちに沿った伝え方を考えやすくなります。
それでは、早速マーケティング心理学の5つのルールについて見ていきましょう。
お客様の購買心理:5つの基本ルール(早見表)
この記事で紹介する5つのルールと、販売ページでの生かし方を、先に一覧で見ておきましょう。
| ルール | お客様の 心の動き | 販売ページでの 生かし方 |
|---|---|---|
| 1. お客様は 理性的ではない | 理屈より先に、気持ちで「ほしい」と感じることが多い | 商品を使ったあとの場面が浮かぶように書く |
| 2. お客様は 感情と衝動で 行動する | 「今ほしい」「あの人も使っている」という気持ちで動く | 期限や限定は本当のときだけ。頼んだ紹介は広告と分かるように |
| 3. お客様は 迷いたくない | 比べ方が分からないと、選ぶのをやめてしまうことがある | コースを絞り、違いと向いている人をはっきり書く |
| 4. お客様は リスクが嫌い | 損をするかもしれない、という心配が買う決め手を鈍らせる | 返金保証などは、条件と一緒に書く |
| 5. お客様は 外国人である | お客様の考え方や言葉は、自分とは違う | 専門用語を避け、事実の数字や場面で伝える |
マーケティング心理学ルール1:お客様は理性的ではない
多くの人は、自分が合理的に物事を判断し、論理的に意思決定を下していると考えがちです。
しかし、現実はそう単純ではありません。
特に商品を買うときは、理屈だけでなく、そのときの気持ちが大きく関わります。
人はなぜ感情で商品を買うのでしょうか。
その手がかりになるのが、心理学者のダニエル・カーネマンの説明です。
カーネマンは、著書『ファスト&スロー』(原書は2011年、日本語訳は2012年に早川書房から刊行)で、人の考え方を、すばやく自動的に働く「システム1」(直感)と、注意を向けてじっくり考える「システム2」(熟考)の2つに分けて説明しています。システム1は、印象や直感、気持ちなどを次々に生み出していて、ふだんはシステム2が、それをほとんどそのまま受け入れている、とも書いています。
脳の中で「まず感情、そのあとで理性」と順番に分かれて働く、とまで言い切れるわけではありません(カーネマン自身も、2つのシステムは脳のどこか1か所にあるものではなく、説明のための「登場人物」だと断っています)。
ただ、買い物では、気持ちが先に動き、理屈があとから付いてくることが多い、というのが私の考えです。Kindle本『お客様が自然と買いたくなるマーケティング心理学』の第2章でも、「お客様は『感情(エモーション)』で商品を買う決断をし、その後に『理屈(ロジック)』を使って、自分の決断は正しかったのだと自分自身を納得させる」と書きました。
つまり、商品に対する感情的な印象が購買意欲を大きく左右するのです。
例えば、あなたがお店で素敵なデザインの洋服を見つけたとします。
その瞬間、「これを着れば周りから褒められるかも」「自分の魅力が高まりそう」といった感情が湧き上がってきます。
そして、その感情が「買いたい!」という衝動を引き起こすのです。
購買決定プロセスにおいて、感情はとても重要な役割を果たします。
商品に対して良い感情を持てば購入意欲が高まる一方、嫌な感情を抱けば購入を躊躇してしまいます。
したがって、マーケティングにおいては、如何にしてお客様に良い感情を持ってもらうかが肝心なのです。
では、この考え方をマーケティングに生かすにはどうすれば良いのでしょうか。
ポイントは、お客様の感情を揺さぶる演出を施すことです。
商品やサービスがもたらすベネフィット(お客様が得られる良い変化)を、具体的なストーリーやイメージで伝えましょう。
例えば、手帳なら、「日曜の夜に10分、この手帳に1週間の予定を書き出しておけば、月曜の朝、何から手をつけるか迷わずに仕事を始められます」といった具合です。
お客様の想像力を刺激し、良い感情を湧き立たせることが重要なのです。
なお、化粧品や健康食品の効き目(「若返る」「痩せる」など)を、こうしたイメージの例にするのは避けましょう。化粧品が広告でうたえる効き目は、国が決めた56の項目(「皮膚をすこやかに保つ」「皮膚にうるおいを与える」など)までで、「若返る」に当たる項目はありません。範囲を越えると、薬機法(薬や化粧品などの品質や広告の決まりを定めた法律)の問題になるおそれがあります。
くわしいNG例とOK例は、キャッチコピーの書き方の記事の「キャッチコピーで気をつけたい広告の決まり」の章にまとめています。
また、感情的な訴求を行う際は、お客様のペルソナ像を明確にしておくことが大切です。
年齢や性別、ライフスタイルなどを考慮し、お客様の感情に寄り添うメッセージを発信しましょう。
お客様は理性的ではなく、感情で動く生き物です。
この事実を理解し、感情に訴求するマーケティングを実践することが、売上アップへの第一歩となるのです。
マーケティング心理学ルール2:お客様は感情と衝動で行動する
前のルールで、人は感情で商品を買うことを説明しました。
ここからもう一歩踏み込んで考えてみましょう。
人の行動は、そのときの気持ちや、とっさの思い(衝動)にも大きく左右されます。
感情から湧き起こる人の行動原理を理解することは、マーケティング戦略を立てる上で非常に重要です。
喜怒哀楽といった感情は、私たちの日常的な行動を大きく左右します。
例えば、喜びや楽しさを感じれば、その状態を維持しようと積極的に行動するようになります。
反対に、怒りやストレスを感じれば、それを回避しようと行動を起こすでしょう。
つまり、人の行動を促すには、適切な感情を刺激することが効果的なのです。
このような感情と衝動に訴求するマーケティング事例は、数多く存在します。
わかりやすい例が、限定商品の販売です。
「期間限定」「特別価格」といったキャッチコピーを打ち出すことで、お客様に希少性を感じさせ、「今買わないと損する」という衝動を引き起こします。
手に入りにくいものほど、ほしくなる。この心の動きを、心理学者のロバート・チャルディーニは、人を動かす原理の1つとして「希少性」と呼んでいます(チャルディーニの会社の公式サイトは、こうした原理を倫理的に使うよう書いています)。
ただし、「期間限定」と書けるのは、本当にその期限で締め切るときだけです。期限が過ぎても同じ条件で売り続けたり、最近しばらく(目安は、セールを始める前の8週間のうち半分より長く)その値段で売っていなかった「通常価格」と比べて「特別価格」と書いたりすると、景品表示法(実際よりよく見せたり、得に見せたりする広告や、おまけの出しすぎを取りしまる法律)にふれるおそれがあります。
また、商品の購入によって得られる体験や変化を強調するのも効果的です。
例えば、写真の整理アプリなら、「旅行の帰りの電車の中で、その日の写真が1冊のアルバムにまとまる」のように、使ったあとの場面を見せて、お客様の感情に働きかけるわけです。
ただし、食品で体型の変化をうたう書き方は使えません。NG例:「このシェイクを飲めば、理想の体型になれる」
消費者庁の「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項」は、「美しい理想の体形に」という言い方も、健康や体の見た目によい効果(健康保持増進効果等)をうたう表示の例に挙げています。裏付けがないまま書くと、健康増進法(食品の広告で、健康によい効果を大げさに書くことを禁じる法律)や景品表示法にふれるおそれがあります。食品なら、効き目ではなく、使う場面や手間を事実で書きます。OK例:「1袋を水200mlに溶かすだけ。朝の支度の合間に飲めるシェイク」
さらに、SNSの活用も見逃せません。
インフルエンサーによる商品紹介は、フォロワーの感情を揺さぶり、衝動買いを促します。
「憧れのあの人も使っている商品だから、自分も買おう」という心理が働くのです。
インフルエンサーに紹介を頼むときは、広告だと分かるようにしてもらうことが必要です。2023年10月から、広告であることを隠した宣伝(ステルスマーケティング)は、景品表示法で禁止されています。お礼を払ったり、商品を渡して投稿を頼んだりして、投稿の中身に関わったときは、「広告」「PR」などと分かるように書いてもらいます。頼んで書いてもらった投稿を、自社のサイトに一般のお客様の感想のように載せるときも、同じように、事業者の表示だと分かるようにします。
このように、人の行動は感情と衝動に大きく影響されます。
マーケターの役割は、お客様の感情を適切に刺激し、行動を促すことにあるのです。
ただし、感情に訴求する際は注意が必要です。
あまりに強引な手法は、お客様の反感を買う恐れがあります。
あくまでも、お客様の立場に立ち、共感を得られるアプローチを心がけましょう。
お客様の感情と衝動を理解し、それに沿った伝え方をすれば、お客様に届くマーケティングがしやすくなります。
マーケティング心理学ルール3:お客様は迷いたくない
商品やサービスが多様化した現代社会において、お客様は選択肢の海に溺れています。
しかし、選択肢が多すぎると、かえって選びにくくなることがあります。
なぜなら、選択に迷うことは、ストレスを伴うからです。
選択肢が多すぎると、購買に繋がりにくくなることがあるのは、このためです。
お客様は、自分にとって最適な商品を選びたいと思う一方で、選択の過程で大きな負担を感じてしまうのです。
「どの商品が自分に合っているのかわからない」
「間違った選択をしたらどうしよう」
こうした不安から、お客様はついに「選ばない」という選択をしてしまうのです。
心理学では「選択過剰」(「選択のパラドックス」とも呼ばれます)として研究されてきた現象です。よく知られているのは、コロンビア大学のシーナ・アイエンガーと、スタンフォード大学のマーク・レッパーが2000年に発表した研究です。スーパーの試食コーナーに6種類のジャムを並べたときは、立ち寄った人の約30%がジャムを買ったのに、24種類を並べたときは約3%でした。
ただし、いつもそうなるわけではありません。50の実験をまとめた2010年の分析(シャイベヘンネら)では、選択肢の多さが買う気や満足度を下げる効果は、平均するとほぼゼロでした。
2015年に発表された別の分析(チェルネフら)は、選択肢どうしが複雑で比べにくいとき、選ぶこと自体が難しいとき、お客様の好みがはっきりしていないとき、なるべく手間をかけずに選びたいときに、選択肢が多いと迷って決められなくなりやすい、とまとめています。はじめて講座を選ぶお客様は、比べ方も自分の好みも、まだはっきりしないことが多いものです。私は、こうした場面こそ、選択肢を絞ることが大切だと考えています。
では、マーケターはどのようにこの問題に対処すべきでしょうか。
答えは、シンプルで明確なマーケティングを実践することです。
まず、商品やサービスのラインナップをシンプルにすることが重要です。
多くの選択肢を提示するのではなく、お客様のニーズに合わせて厳選した商品を用意しましょう。
加えて、各商品の特徴や利点を明確に伝えることが肝心です。
お客様が商品の違いを理解し、自分に合ったものを選びやすくする工夫が必要なのです。
例えば、オンライン講座であれば、
「はじめて教室を開く方向け」「すでに教室を開いていて、生徒を増やしたい方向け」といったように、目的別にコースを分けることが考えられます。
また、各コースで何を学べるのか、どんな人に向いているのかを、具体的な言葉で説明するのも効果的でしょう。
選択肢を絞り込み、明確な情報を提供することで、お客様の選択に対する不安を取り除くことができるのです。
さらに、デザインの観点からも、シンプルさを追求することが大切です。
見やすく、わかりやすいデザインは、お客様の心理的負担を軽減します。
余計な装飾を排除し、必要な情報だけを的確に伝えるよう心がけましょう。
お客様は迷いたくないのです。
マーケターの役割は、選択のプロセスをできる限りシンプルにし、お客様の不安を取り除くことにあります。
シンプルで明確なマーケティングを実践することが、売上アップへの近道となるでしょう。
マーケティング心理学ルール4:お客様はリスクが嫌い
人には、損をするかもしれないことを避けたがる傾向があります。
行動経済学でも、同じ金額なら、得をしたときの喜びより、損をしたときのつらさのほうが大きく感じられやすいこと(損失回避)が知られています(心理学者のカーネマンとトヴェルスキーが1979年に発表した「プロスペクト理論」)。
この心の動きは、現代社会における購買行動にも大きな影響を与えています。
お客様は、商品を購入する際に、様々なリスクを感じます。
「この商品は本当に自分に必要なのだろうか」
「期待通りの品質や効果が得られるだろうか」
「万が一、商品に満足できなかったらどうしよう」
こうした不安が、購買意欲を削いでしまうのです。
損をしたくない気持ちが買い物に与える影響は、特に高額商品や初めて購入する商品の場合に大きくなりがちです。
お客様は、自分にとって未知の商品に対して、大きなリスクを感じるからです。
したがって、マーケターの重要な役割は、お客様が感じるリスクを可能な限り取り除くことにあります。
ここで有効なのが、「リスクリバーサル」と呼ばれるマーケティング戦略です。
リスクリバーサルとは、商品購入に伴うリスクを、販売者側が負担するという考え方です。
具体的には、返金保証や無料トライアルの提供などが該当します。
例えば、「30日間の全額返金保証」を打ち出すことで、お客様は安心して商品を購入することができます。
万が一、商品に満足できなくても、財布の痛手を最小限に抑えられるからです。
返金保証を付けるときは、何日以内か、どう申し出るか、返金の手数料や、返金の対象にならない場合があるかどうかを、保証の見出しのすぐ下に、小さくしすぎない字で書きましょう。消費者庁は、健康食品の広告についての資料(「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項」)で、「30日間全額返金保証」と書きながら、実際には返金を受けるのに特別な条件がある場合は、実際より得だと思わせる表示(有利誤認)になるおそれがある、としています。
高額な講座では、「受講後に収益が上がらなければ全額返金」のように、成果を条件にした保証を見かけることもあります。こうした保証に「課題をすべて提出した人に限る」のような条件があるなら、それも保証のすぐそばに書く必要があります。また、収益が上がることを前提にしたような見せ方は、成果を約束する広告と受け取られかねないので避けましょう。
条件を正直に書いた保証であれば、お客様のリスクに対する不安を小さくできます。返金保証・お試し・お客様の声など、不安を取り除く方法は、お客様の不安を取り除くオファーの作り方の記事でくわしく紹介しています。
さらに、お客様の声や第三者機関の評価を積極的に公開するのも効果的です。
他の人が商品に満足している様子を知ることで、お客様の安心感は高まります。
お客様の声を載せるときは、ご本人の了承を得て、言葉を変えずに載せます。上達や成果についての感想なら、「個人の感想です」と添えるだけでは足りず、調べた人数と、同じような成果が出た人・出なかった人の割合も一緒に書きます。第三者の評価は、実在する評価を、だれが・いつ評価したのかと一緒に書きましょう。
リスクリバーサルを実践する際の注意点は、あくまでもお客様の立場に立つことです。
単なる売り込みではなく、お客様の不安に真摯に向き合う姿勢が求められます。
「お客様に最高の商品を提供したい」という誠意が伝わってこそ、リスクリバーサルの効果は発揮されるのです。
お客様はリスクが嫌いです。
だからこそ、マーケターはリスクを取り除く努力を惜しんではなりません。
リスクリバーサルを適切に実践することが、お客様との信頼関係を築き、売上アップにつなげる鍵となるでしょう。
マーケティング心理学ルール5:お客様は外国人である
最後のルールは、一見奇妙に聞こえるかもしれません。
「お客様は外国人である」とは、一体どういう意味でしょうか。
ここで言う「外国人」とは、文字通り国籍の異なる人を指すのではありません。
むしろ、「お客様の考え方や価値観は、自分とは異なる」という認識を表しているのです。
マーケターは往々にして、自分の価値観に基づいてマーケティングを実践しがちです。
しかし、それでは、お客様の心に響くコミュニケーションを取ることはできません。
お客様一人ひとりには、固有の背景や経験、ニーズがあります。
その多様性を理解し、尊重することが、マーケティングの基本なのです。
「お客様は外国人である」というルールの本質は、お客様との効果的なコミュニケーションの重要性を示唆しています。
外国人とのコミュニケーションでは、言葉の壁を乗り越える必要があります。
だからこそ、シンプルで明確な表現を用いることが大切なのです。
マーケティングにおいても同じことが言えます。
専門用語や難解な表現を使うのではなく、お客様が理解しやすい言葉で、具体的にメッセージを伝えることが肝心です。
例えば、商品の特徴を説明する際には、抽象的な表現を避け、具体的な数字やエピソードを用いるようにしましょう。
「全30レッスン。動画は合計6時間で、1本は長くても15分です」
「受講生○人のうち、最後の課題まで提出した人は○人でした(20XX年○月時点)」
といった具合です。
数字は、あなたが実際に数えられる事実だけを書きます。受講生の成果(「英語のスコアが○点上がった」など)を載せるなら、1人の例だけでなく、調べた人数と、同じような成果が出た人の割合も一緒に書きましょう。
また、お客様の抱える課題やニーズを、具体的なシナリオとして提示することも効果的です。
「毎朝の通勤電車で疲れていませんか?」
「子育てに奮闘するワーキングマザーの悩みを解決します」
このように、お客様の日常生活に寄り添ったメッセージは、共感を呼ぶはずです。
さらに、お客様とのコミュニケーションでは、一方的な情報発信ではなく、
双方向のやり取りを心がけることも大切です。
お客様の声に耳を傾け、ニーズを汲み取る努力が求められるのです。
「お客様は外国人」という認識を持つことで、マーケターはお客様との距離を縮め、効果的なコミュニケーションを図ることができます。
お客様一人ひとりの個性を理解し、それに応じたアプローチを実践することが、マーケティング成功の秘訣なのです。
お客様の言葉で語り、お客様の心に寄り添う。
このシンプルながら奥深い姿勢こそが、マーケティング心理学の真髄と言えるでしょう。
エクササイズ:商品を買うロジカル/エモーショナルな理由を考える
ここまで、マーケティング心理学の5つのルールについて解説してきました。
しかし、これらの知識を実践に移すには、お客様の購買動機を深く理解する必要があります。
そこで、ここでは「商品を買うロジカル/エモーショナルな理由を考える」というエクササイズをご紹介します。
このエクササイズを通じて、お客様の心理をより深く理解し、効果的なマーケティング戦略を立てましょう。
まず、ロジカルな理由から考えてみましょう。
ロジカルな理由とは、商品の品質や価格、利便性など、客観的で合理的な購入動機のことです。
例えば、「この商品は品質が高い」「価格が手頃である」「使い勝手が良い」といった理由が挙げられます。
こうした理由は、商品の特徴を端的に表しており、お客様の関心を引く上で重要な役割を果たします。
しかし、ロジカルな理由だけでは、お客様の心を動かすことは難しいのです。
なぜなら、人間の意思決定は、感情に大きく左右されるからです。
ここで重要になるのが、エモーショナルな理由です。
エモーショナルな理由とは、商品に対する感情的な反応や、購入によって得られる満足感などを指します。
例えば、「この商品を使えば、自信が持てそう」「周りから褒められるかも」
「憧れのライフスタイルを手に入れられる」といった理由が該当します。
こうした理由は、お客様の深層心理に訴えかけ、強い購買意欲を喚起します。
マーケターの役割は、商品のロジカルな特徴を踏まえつつ、エモーショナルな価値を創造し、伝えることにあります。
そのためには、お客様の感情に寄り添い、共感を得ることが不可欠です。
お客様が抱える悩みや欲求を的確に捉え、商品がそれらを解決・充足できることを示すのです。
例えば、写真教室であれば、「子どもの写真がいつもブレてしまって、見返す気になれない」というお客様の悩みに着目し、
「スマホのままで、ブレにくい持ち方と設定を、1回の教室で一緒に練習します。次の運動会では、あとで見返したくなる1枚を撮ってみませんか」というメッセージを発信することが考えられます。
お客様の感情に訴求することで、商品はより魅力的に映り、購買意欲は高まるでしょう。
エクササイズでは、自社の商品について、ロジカルな理由とエモーショナルな理由を、それぞれ10個ずつ挙げてみることをおすすめします。
私自身の例で言うと、大学生のころ、アルバイトをしてMacBookを買いました。大学の勉強に使う、というのは人にも言える理由です。でも心の中では、「これで自分で音楽を作曲したりできるかな」「Macを買えばオシャレなクリエイターになれるのでは」と期待していました。結局、音楽制作にはほとんど生かせませんでしたが、スキルアップや仕事に生きた部分も多く、後悔はしていません(このときの話は、Kindle本の紹介記事に書いています)。
あなたの商品についても、お客様が人に言いやすい理由(ロジカル)と、心の中で本当に期待していること(エモーショナル)を、分けて書き出してみてください。ただし、お客様の心の中の期待を、そのまま約束にして書かないでください。広告に書けるのは、あなたの商品で本当にできることの範囲までです。
このプロセスを通じて、お客様の購買動機を多角的に理解し、効果的なマーケティングメッセージを作ることができるはずです。
商品を買うロジカルな理由とエモーショナルな理由。
この2つの視点を持つことが、マーケティング心理学を活用する上での第一歩なのです。
まとめ
本記事では、マーケティング心理学の5つのルールについて詳しく解説してきました。
ここで、それぞれのルールを簡単におさらいしておきましょう。
- お客様は理性的ではない
- 人は感情で商品を購入する傾向がある
- 購買行動において、感情が重要な役割を果たす
- お客様は感情と衝動で行動する
- 人の行動は、感情と衝動に大きく影響される
- 適切な感情を刺激することが、マーケティングの鍵となる
- お客様は迷いたくない
- 選択肢が多すぎると、購買に繋がりにくくなることがある
- シンプルで明確なマーケティングが重要である
- お客様はリスクが嫌い
- 損をしたくない気持ちが、購買行動に影響を与える
- リスクリバーサルによって、お客様の不安を取り除くことが可能
- お客様は外国人である
- お客様一人ひとりの個性や価値観を理解する必要がある
- 具体的で明確なコミュニケーションが、お客様との信頼関係を築く
以上の5つのルールは、マーケティング心理学の基本とも言えるものです。
これらを理解し、実践することが、売上アップへの第一歩となるでしょう。
では、具体的にどのようなポイントを実践すべきでしょうか。
ここでは、3つの重要なポイントを挙げておきます。
- 感情に訴求するマーケティングメッセージを発信する
- お客様の感情を揺さぶる、魅力的なコピーライティングを心がける
- ストーリーやエピソードを交えて、商品の価値を伝える
- シンプルで明確な商品説明とデザインを心がける
- 商品のラインナップを絞り込み、選択肢を最適化する
- 専門用語を避け、お客様が理解しやすい言葉で商品の特徴を説明する
- リスクリバーサルを積極的に取り入れる
- 条件をはっきり書いた返金保証や無料トライアルなどで、お客様の不安を取り除く
- お客様の声や第三者の評価を、事実のとおりに公開し、信頼感を高める
これらのポイントを意識し、日々のマーケティング活動に反映させることが重要です。
マーケティング心理学の知見を活用し、お客様の心に響くアプローチを実践していきましょう。
マーケティングにおいて、お客様の心理を理解することは非常に重要です。
本記事で紹介した5つのルールや実践ポイントを参考に、マーケティング心理学の力を味方につけることをおすすめします。
お客様の心に寄り添い、共感を得ることができれば、お客様に選んでもらいやすくなるはずです。
マーケティング心理学を活用し、売上アップを目指しましょう。
「主人公はお客様」という文章の書き方を、当時の記録で読みたい方へ
2016年4月に、アメリカ・フェニックスのマーケティングセミナーで学んだことを48ページにまとめた、無料の電子書籍「フェニックスレポート」をご用意しています。8つのマインドセット、PASTORフォーミュラ(考案者のレイ・エドワーズ氏から教わった内容)、「あなたはヒーローではない」(主人公はお客様)という文章の書き方などが入っています。
今すぐ使う手順書ではなく、当時の考え方や文章の書き方に触れてみたい方向けの読み物です。この記事の「お客様は外国人である」のように、お客様の立場から考える話を、もう少し読んでみたい方はどうぞ。
メールアドレスをご登録いただくと、無料電子書籍のダウンロードリンクと、その後のお役立ち情報・弊社の講座のご案内をメールでお届けします。不要な場合は、いつでも解除できます。
この記事の心理学の説明は、2026年9月25日に、カーネマン『ファスト&スロー』の書誌(CiNii Books)と原書の抜粋、アイエンガーとレッパー(2000年)・シャイベヘンネら(2010年)・チェルネフら(2015年)・カーネマンとトヴェルスキー(1979年)の論文と要旨、チャルディーニの会社(Influence at Work)の公式サイトで確認したものです。広告の決まりは、2026年9月24日・25日に、e-Gov法令検索(景品表示法・薬機法・健康増進法)と消費者庁・厚生労働省の資料で確認しました。ここでの説明は一般的なもので、法律の相談に代わるものではありません。
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