AIショート動画作成ツールKlap(クラップ)を使ってみた感想

長尺のYouTube動画からショート動画を自動生成してくれる「AI自動ショート動画作成ツール」。海外では既に多くのツールが登場していますが、実は日本語環境で実用的に使えるものは極めて限られています。この記事では、実際に複数のツールを検証し、ほぼ唯一日本語に対応している「Klap(クラップ)」の実力を徹底的にレビュー。字幕生成や編集機能の使い勝手、現状での課題から、今後の活用方法まで、具体的な導入検討に役立つ情報をご紹介します。もしあなたがショート動画の制作効率を上げたいと考えているなら、このツールの可能性と限界を知っておく必要があります

はじめに:YouTubeショート動画作成の課題

長尺のYouTube動画から効率的に切り抜き動画を作りたいと考えていませんか?

YouTubeでの発信を続けていると、メイン動画だけでなくショート動画のニーズが高まっていることを実感するはずです。特に2024年は、TikTokやYouTubeショートの人気が加速し、短尺コンテンツの重要性が更に増しています

私自身、以前は動画編集ソフト「DaVinci Resolve」を使って、チームで手作業での切り抜き作業を行なっていました。確かに、人の手による編集は質の高い動画を作ることができます。

(通常の動画編集ソフトを使って長尺コンテンツから切り抜き動画を作るのはかなり大変な作業です。画像はDaVinci Resolveでショート動画を人力で切り抜いて編集している様子。)

しかし、同時に以下のような課題を抱えていました:

  • 時間がかかりすぎる
  • 人件費のコストが高い
  • 作業が単調で疲れる
  • スピーディーな配信が難しい

そんな中、最近注目を集めているのがAI自動ショート動画作成ツールです。海外では既に多くのツールが登場していますが、はたして日本語環境で実用的に使えるものはあるのでしょうか?

今回は、実際に複数のAI自動ショート動画作成ツールを試してみた結果をお伝えします。もしあなたが、

  • 効率的にショート動画を作りたい
  • 編集作業の時間を削減したい
  • コストを抑えながら動画制作をしたい

と考えているなら、この記事で紹介する内容が必ず役立つはずです。

一緒に、最新のAI自動ショート動画作成ツールの実力を見ていきましょう。

AI自動ショート動画作成ツールとは

長尺のYouTube動画から自動的にハイライトシーンを抽出し、ショート動画を作成してくれる—。それがAI自動ショート動画作成ツールの基本的な機能です。

従来の動画編集では、以下のような工程をすべて人の手で行う必要がありました

  • 動画全体からの見どころの選定
  • 切り抜きポイントの決定
  • 字幕の作成と配置
  • BGMの選定と挿入
  • 画面サイズの調整

これらの作業をAIが自動で行ってくれるのが、AI自動ショート動画作成ツールの最大の特徴です。

期待できる主なメリットは:

  • 作業時間の大幅な削減
  • 人件費コストの低減
  • 定期的な投稿の実現
  • 複数プラットフォームへの同時展開

特に、字幕の自動生成機能は大きな魅力です。動画編集作業の中でも字幕付けは最も時間のかかる作業の一つですから。

しかし、ここで注意が必要です。

多くのAI自動ショート動画作成ツールは海外で開発されたもの。そのため、以下のような課題が存在します:

  • 日本語への対応が限定的
  • 字幕の区切り方が不自然
  • フォントの選択肢が少ない
  • テロップの表示位置が最適化されていない

つまり、ツールを選ぶ際は慎重な検討が必要というわけです。

では、実際に主要なツールを比較しながら、日本語環境での使い勝手を詳しく見ていきましょう。

主要なAI自動ショート動画作成ツールを比較検証

現在、多くのAI自動ショート動画作成ツールが登場していますが、実際に使える日本語対応ツールは限られています。主要なツールを実際に試してみた結果をご紹介します。

Opus Clip

結論:日本語環境では使用不可

海外で人気の高いOpus Clipですが、残念ながら日本語コンテンツのアップロード時点でエラーが発生してしまいました。YouTuberによる宣伝も見かけますが、現時点では日本語コンテンツには対応していないようです。

OpusClip公式サイト

https://www.opus.pro/

2Short.ai

結論:動作が不安定

日本のテック系ニュースサイトで「日本語にも対応している」と紹介されていたのですが、YouTube動画のURLを貼り付けても処理が完了しない状態が続きました。頻繁にエラーが発生し、実用的なレベルではありませんでした。

2Short.ai公式サイト

https://2short.ai/

Submagic

結論:日本語環境では使用不可

字幕自動生成ツールとして知られているSubmagicですが、日本語の動画ファイルをアップロードした時点でエラーが表示されました。英語圏以外の言語への対応はまだこれからという印象です。

SubMagic公式サイト

https://www.submagic.co/

Klap

結論:日本語対応しているが一部課題あり

Klap公式サイトはこちら
https://klap.app/

試してみた中で唯一、日本語コンテンツで実際に動作したツールです。以下の特徴がありました:

  • 無料プランあり
  • 日本語の音声認識が機能する
  • 約10個程度のハイライトシーンを自動抽出

しかし、以下のような課題も見られました:

  • 字幕の区切りが不自然
  • テロップの表示方法が最適化されていない
  • フォントのカスタマイズ性が低い

その他のツール

他にも様々なツールを調査しましたが、ほとんどが以下のような状況でした:

  • 日本語に対応していない
  • 有料プランでないと機能を試せない
  • 個人開発のベータ版レベル

このように、現状では日本語環境で実用的に使えるツールは極めて限定的です。その中で、一定の機能を果たせるKlapについて、次は詳しく見ていきましょう。

日本語対応ツール「Klap」を実際に使ってみた結果

複数のAIツールを検証した中で、唯一実用レベルで動作した「Klap」について、実際の使用感をご紹介します。

基本機能と使い方

  • 動画のアップロード
  • YouTubeのURLを貼り付けるだけで分析開始
  • 長尺動画から自動的にハイライトシーンを抽出
  • 約10個程度の切り抜き候補を提案
  • 自動字幕生成
  • 日本語の音声を自動で文字起こし
  • テロップとして自動配置
  • トランスクリプト(文字起こし全文)も確認可能
  • 編集機能
  • テロップのフォント選択
  • 字幕の表示位置の調整
  • 動画の長さの微調整

良かった点

無料プランで基本機能を試せる

  • リスクなく機能を確認できる
  • 実用に耐えるレベルの基本機能を提供

操作が直感的

  • 特別な知識がなくても使い始められる
  • インターフェースがシンプル

処理速度が比較的速い

  • 動画のアップロードから分析まで待ち時間が少ない
  • リアルタイムでプレビュー確認可能

改善が必要な点

字幕の区切りに難あり

  • 日本語特有の文の区切りを認識できていない
  • 英語圏向けの区切り方がそのまま適用されている

カスタマイズ性の限界

  • フォントの種類が限定的
  • テロップのデザイン自由度が低い
  • 字幕の表示位置の細かい調整が困難

抽出精度にばらつき

  • 必ずしも最適な切り抜きポイントを選択できていない
  • 人間による最終チェックが必要

このように、Klapは日本語環境で使える数少ないツールとして評価できますが、完全な自動化ツールというよりは、編集作業の補助ツールとして捉えるのが現実的でしょう。

実際の活用方法や、人手による編集との使い分けについては、次のセクションで詳しく解説していきます。

AI自動ショート動画作成の現状と課題

実際にAI自動ショート動画作成ツールを使ってみて、現状での限界と課題が明確になりました。これらを理解することで、より効果的な活用方法が見えてきます。

日本語環境での限界

最大の課題は言語の壁です。

  • アルファベット以外の言語への対応が遅れている
  • 多くのツールが日本語環境では機能しない
  • 英語圏向けの機能がそのまま流用されている

これは単なる技術的な問題ではなく、言語特性の違いに起因しています。

字幕表示の問題

字幕に関しては、以下のような具体的な課題があります:

不自然な区切り方

  • 「今日は、とても」「良い天気です」のように意味が通らない位置で分割
  • 一行あたりの文字数が最適化されていない

フォントの制限

  • 日本語フォントの選択肢が少ない
  • 縦書きに対応していない
  • フォントサイズの自動調整が不完全

表示位置の最適化

  • 画面内の重要な要素と重なってしまう
  • 見やすい位置に自動調整できない

編集の自由度

創造性を必要とする部分では、まだAIツールには限界があります:

  • 面白みのある切り抜きポイントの選定
  • ストーリー性のある編集
  • 視聴者の興味を引く演出
  • 効果的なBGMの選定とタイミング

特に、「面白い」「印象的」というような感性的な判断は、現状のAIツールでは十分にカバーできていません。

技術的な制約

その他、以下のような技術的な課題も存在します:

  • 処理可能な動画の長さに制限
  • アップロード時のファイルサイズ制限
  • 出力形式やアスペクト比の制約
  • エクスポート時の画質劣化

これらの課題は、完全な自動化への道のりがまだ遠いことを示しています。しかし、これらの限界を理解した上で、人間の編集作業との適切な組み合わせを考えることで、より効率的な動画制作が可能になります。

その具体的な方法について、次のセクションで詳しく解説していきます。

おすすめの活用方法

AI自動ショート動画作成ツールには様々な制約がありますが、使い方次第で十分に役立つツールとなり得ます。ここでは、効果的な活用方法についてご紹介します。

どんな場合にAIツールを使うべきか

以下のような場合は、AIツールの活用が効果的です:

基本的な情報発信型の動画

  • 商品やサービスの説明動画
  • ハウツー系コンテンツ
  • セミナーやウェビナーの要約

大量の動画を定期的に配信する必要がある場合

  • 毎日の投稿が必要なチャンネル
  • 複数プラットフォームでの展開
  • シリーズ化されたコンテンツ

字幕作成の工数を削減したい場合

  • 文字起こしベースの編集
  • 多言語対応が必要なケース
  • テロップ重視の動画制作

効果的な併用方法

AIツールと人手による編集を組み合わせるのが現実的な解決策です:

  • AIツールでの下準備
  • 自動字幕生成で文字起こし
  • 切り抜き候補の抽出
  • 基本的なテロップ配置
  • 人手による仕上げ
  • 字幕の区切り位置の調整
  • テロップデザインの改善
  • BGMや効果音の追加

この「荒削り→仕上げ」の2段階アプローチにより、作業効率を大幅に向上させることができます。

人手での編集との使い分け

以下のような場合は、人手による編集を優先することをおすすめします:

感情やインパクトを重視する動画

  • ドラマチックな展開が必要なコンテンツ
  • 笑いやサプライズを含む企画物
  • ストーリー性の強い内容

細かいブランディングが重要な場合

  • コーポレート向けの動画
  • ブランドイメージを重視する企画
  • 商品PRや広告目的のコンテンツ

複雑な編集が必要な場合

  • 多数のカット切り替え
  • 特殊効果の多用
  • 精密な音声編集が必要

このように、目的や要件に応じて使い分けることで、AIツールの特性を最大限に活かすことができます。

次のセクションでは、これらを踏まえた上での今後の展望とおすすめの対応策についてまとめていきます。

まとめ:AI自動ショート動画作成の今後

現時点でのAI自動ショート動画作成ツールは、完璧な解決策とは言えません。しかし、この分野は急速に進化しており、今後の発展が期待できます。

現時点での推奨度

推奨度:★★★☆☆(5段階中3)

  • 補助ツールとして有効
  • 作業時間の短縮に貢献
  • ✗ 完全な自動化は期待できない
  • ✗ 日本語環境での最適化が不十分

具体的な活用のアドバイス

  • まずは無料プランで試してみる
  • Klapの基本機能を体験
  • 自社のコンテンツとの相性を確認
  • 作業フローへの組み込み方を検討
  • 段階的な導入を心がける
  • 重要度の低いコンテンツから開始
  • 人手による編集との併用から始める
  • 徐々に自動化の範囲を広げる
  • 現実的な期待値を持つ
  • 完璧な仕上がりを求めすぎない
  • 工数削減のツールとして割り切る
  • 人手による最終チェックは必須

今後の展望

以下のような進化が期待されます

  • 日本語対応の強化
  • より自然な字幕生成
  • 編集の自由度向上
  • AIによる演出の改善

特に、日本発のAIツールの登場に期待が高まります。日本語特有の言語特性を理解した、より使いやすいツールの開発が望まれます。

おわりに

もしあなたが動画編集の効率化を検討されているなら、以下の段階的なアプローチをおすすめします:

  1. まずは無料のAIツールを試してみる
  2. 自社のコンテンツに合わせた活用方法を見つける
  3. 人手による編集と組み合わせて最適な方法を確立する

現状のAIツールには制限がありますが、それを理解した上で適切に活用すれば、十分な効果を得ることができます

最後に、もし新しいAI自動ショート動画作成ツールをご存知の方がいらっしゃいましたら、ぜひ情報をシェアしていただければと思います。みんなで知見を共有することで、より効率的な動画制作の方法を見つけていけるはずです。

今回の記事内容を解説した動画はこちら

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