
動画講座や解説動画で、エアコンの音や「ブーン」というノイズが気になることはありませんか。iZotope RXは、録音した音声のノイズや傷みを修復するためのツールです。この記事では、Final Cut Proでの使用例をもとに、Voice De-noiseの基本と、必要な版の選び方を紹介します。ノイズの少なさだけでなく、話している言葉が自然に聞き取れるかを基準に整えていきましょう。
まずは短い区間で、声の自然さを比較する
- 原音を聴く:声がある部分と、話していない部分を含む短い区間を選び、何の音が気になるか確認します。
- 使う方法を確認する:Final Cut Proで認識するRXのAUプラグインを使うか、Standard/Advancedの単体エディタへ音声ファイルを渡すかを決めます。購入前なら対応環境を先に確認してください。
- 控えめに処理する:話し声にはVoice De-noiseのDialogue設定などを使い、削減量を少しずつ調整します。
- 処理前後を比較する:声の語尾や子音まで消えていないか、こもりや不自然な揺れが出ていないかを聴き比べます。
2026年9月12日更新:本記事は「初心者のためのFinal Cut Pro解説 その38」の更新版です。私が2024年に解説した動画と、当時の画像を残しています。Final Cut Pro内の実演画像にはRX 9が写っています。製品情報は現在のRX 12、操作説明は同日に確認したiZotopeとAppleの公式資料をもとに補足しました。最新版の実機動作を検証した記録ではありません。キー操作は標準のコマンド設定の場合です。
音量そのものが小さい・大きい場合は、先にFinal Cut Proの音量調節と音声編集も確認してください。編集全体の流れはFinal Cut Proの使い方まとめにまとめています。
はじめに:ノイズを減らし、説明を聞き取りやすくする

話している言葉の後ろに機械音や雑音が重なると、視聴者は内容を追いにくくなります。RXは録音後の修復に役立ちますが、どんな録音でも、声を傷めずにすべてのノイズを消せるわけではありません。声の情報が失われている部分や、大きな風切り音などは、処理だけで解決しきれない場合もあります。
これから収録する場合は、マイクと口の距離、反響、周囲の機械音を先に確認しましょう。すでに収録した素材では、気になるノイズを減らしつつ、言葉が自然に聞こえるところを探すのが基本です。
iZotope RXとは:ノイズの種類に合わせて修復するツール

RXには、ノイズや問題の種類に合わせた複数の機能があります。上の画像は、音声を波形やスペクトログラムで確認できるRX Standardの単体エディタの2024年当時の画面です。すべての版に、この単体エディタが付属するわけではありません。
- Voice De-noise:話し声や歌声の背景にあるノイズを抑える機能。この記事の中心となる処理です。
- De-hum:電気機器などによるハムや干渉音の対策に使います。
- De-click:「プチッ」というクリックや短い突発的なノイズを扱います。
- De-clip:録音時のクリッピングによる歪みを修復する機能。De-clickとは別の処理です。
さらに、細かな箇所を視覚的に修復するSpectral Repairや、声と背景音を分けて調整するDialogue Isolateなどがあります。使える機能と、プラグイン/単体エディタのどちらで使えるかは版によって異なります。現行の機能構成はRX 12 Standard公式ページの比較表で確認できます。
RX Elements・Standard・Advancedの選び方

上の画像は、Final Cut ProのエフェクトブラウザにRX 9のプラグインが並んだ2024年の使用例です。画像に並ぶ機能が、現行のElementsにすべて入っているという意味ではありません。2026年9月の現行製品はRX 12です。
| 版 | この記事の用途で確認したい違い |
|---|---|
| RX 12 Elements | Voice De-noise、De-hum、De-click、De-clip、De-reverb、Repair Assistantのプラグインを収録。単体のRX Audio Editorは付属しません。 |
| RX 12 Standard | 単体エディタと、Spectral Repair、Spectral De-noise、Dialogue Isolateなどを使いたい場合の候補です。 |
| RX 12 Advanced | Standardの範囲に加え、より複雑な修復やマルチチャンネル処理が必要な場合に検討します。 |
声の背景ノイズをプラグインで抑える用途なら、Elementsの機能で足りるか確認できます。一方、音声を書き出して単体エディタで直したい場合は、Standard以上が必要です。動画制作者だから一律にElementsが最適、あるいはAdvancedが必要、とは決めず、困っている音と作業方法で選びましょう。Elements、Standard、Advancedの公式仕様を参照できます。
価格は、新規購入・アップグレード・セール・販売店で変わります。旧記事のドル価格や円換算額を固定の目安にせず、購入時の対象製品と条件を確認してください。すでに持っているRXで目的を果たせるなら、まずその版の機能を確認しましょう。
導入前に確認したいFinal Cut Proとの連携

※上は2024年当時のiZotope公式サイトです。写っているAuroraはRXとは別製品で、画像の価格もRXの価格ではありません。
iZotope公式サイトはこちら
https://www.izotope.com/
Final Cut Proは64ビットのAudio Units(AU)エフェクトを利用でき、RXにもAU形式のプラグインがあります。ただし、AU形式があることと、最新の組み合わせがメーカーの確認済み環境であることは別です。確認したRX 12の公式対応ホスト一覧には、Final Cut Proは記載されていません。AppleのAU対応の説明と、RX 12のSystem Requirements/Supported Hostsを確認してください。
旧版での使用例だけで現行環境の動作は保証できないため、購入前にはMac・macOS・RX・Final Cut Proの組み合わせをメーカーに確認し、体験版でプラグインの読み込みや操作を確かめましょう。体験版には利用期間や書き出しの制限があります。たとえばRX 12 Standardのダウンロード案内では、体験中の書き出し制限が案内されています。
インストールと認証の流れ
- iZotope公式アカウントで対象製品のダウンロードを開き、Mac用のインストーラを入手します。すでに使っている旧版を更新する場合も、対応条件を先に確認します。
- インストーラの案内に従ってインストールします。Final Cut Proで使う場合は、AU形式のプラグインがインストールされていることを確認します。
- 初回起動時の認証画面で、サインインまたはシリアル番号による認証を行います。RX 12の「Sign In」はProduct Portalを使う方式です。具体的な選択肢はRX 12公式の認証手順を参照してください。
- Final Cut Proを起動し直し、エフェクトブラウザでRXの目的のエフェクトが表示されるか確認します。
Final Cut Proの設定に「オーディオ」タブを開いてRXへチェックを入れる、という手順ではありません。表示されない場合は、AUのインストール状況・対応環境・認証を確認し、必要に応じてメーカーへ問い合わせてください。
Final Cut ProでVoice De-noiseを使う手順

ここからは、RXのAUプラグインがFinal Cut Proで認識され、利用できる環境での手順です。上の画像は、私の解説動画にRX 9 Voice De-noiseを適用したときの編集画面です。現在の表示名は、インストールした版によって異なります。
1. エフェクトブラウザから追加する
- タイムラインで、処理したいオーディオクリップ、または音声を含むビデオクリップを選びます。
- Command+5、またはタイムライン上部の「エフェクト」ボタンでエフェクトブラウザを開きます。
- オーディオエフェクトから「Voice De-noise」を探し、クリップへドラッグします。選択したクリップへ適用する場合は、エフェクトをダブルクリックする方法もあります。
- Command+4でインスペクタを表示し、「オーディオ」の「エフェクト」欄を確認します。詳細画面はエフェクト名の右側の「コントロール」ボタンで開けます。
追加場所は、オーディオインスペクタの「+」ボタンではなく、エフェクトブラウザです。詳しくはApple公式のオーディオエフェクト追加とエフェクトの調整方法を参照してください。
2. Voice De-noiseを控えめに調整する
話し声では、まずOptimize forの「Dialogue」を確認します。ノイズの状態が変わる素材なら「Adaptive Mode」、一定のノイズを手動で学習させたい場合はManual側の「Learn」を使います。Learnには、声の入っていないノイズだけの部分を選びます。
- Threshold:ノイズを減らすためのしきい値を調整します。声まで処理されていないか確認します。
- Reduction:ノイズを減らす最大量を調整します。強くするほどよい、という設定ではありません。
- Filter Type:GentleとSurgicalで処理の性質が変わります。Surgicalは声の質感が変わる場合もあるため、原音と比較して選びます。
「Voice Isolation」という独立した調整項目は、このVoice De-noiseの説明には使いません。別機能のDialogue IsolateやFinal Cut Proの「声を分離」と混同しないよう、開いているエフェクト名を確認してください。現在の項目はRX 12 Voice De-noise公式マニュアルに基づいています。
3. 処理前後を比較する
エフェクトを一時的に無効にして原音と聴き比べ、言葉の頭・語尾・息づかいが不自然になっていないかを確認します。ノイズが消えても声がこもる、揺れる、水中のように聞こえる場合は処理を弱めましょう。モニターの再生音量も大きく変えずに比較すると、判断しやすくなります。
FCP内のエフェクトは、設定を戻したり無効にしたりして比較できます。単体エディタで処理するときは原音を別に残してください。比較のために音声を複製した場合も、同時に両方を鳴らして音が二重にならないようにします。
4. 同じ条件のクリップに設定をコピーする
コピー元のクリップを選びCommand+Cでコピーし、コピー先を選んでShift+Command+Vの「パラメータをペースト」を開きます。オーディオ側で必要なエフェクトだけを選んでペーストしてください。旧版では「属性をペースト」と表示される場合があります。Apple公式のコピー手順を参照できます。
Command+Vでクリップ自体を貼り付ける操作とは異なります。また、収録場所やマイク、ノイズが変わる場面では、同じ設定をそのまま使わず、各区間を聴いて調整しましょう。
単体エディタを使う場合:音声を書き出して戻す
Standard/AdvancedのRX Audio Editorなら、Final Cut Proのプラグインとして動かす方法とは別に、音声ファイルを開いて修復できます。この記事では、元のファイルを上書きする手順よりも、処理後の音声を別名で書き出して戻す方法で説明します。
- Final Cut Proから処理したい声を音声ファイルとして書き出します。声だけを修復する場合は、BGMなどを混ぜない素材を用意します。書き出した範囲の開始位置を確認しておきます。
- RX Audio Editorでファイルを開き、必要な処理を行います。映像との同期を保つため、ノイズ修復中に音声の長さを変えないようにします。
- File → ExportでWAVやAIFFなどの音声として、元ファイルと違う名前で書き出します。RX専用の.rxdoc形式だけでは、Final Cut Proへ戻す音声ファイルになりません。
- 処理後の音声をFinal Cut Proへ読み込み、元の開始位置と映像に合わせます。元の音声を同時に再生しないようにし、口の動きや区切りがずれていないか確認します。
iZotopeのFinal Cut Pro向け連携案内には元の音声ファイルを上書きする方法もありますが、これは元データを書き換える操作です。また、動画ファイルはRX Audio Editorから上書きできず、処理した音声の書き出しと再読み込みが必要です。保存と出力形式はRX 12のファイル操作ガイドで確認できます。
RX ConnectやARAによる連携は、対応ホストごとに条件が異なります。RXのすべての機能がFinal Cut Pro内で使えるとは考えず、必要な機能が単体エディタ用かプラグイン用かを確認してください。
注意点:ノイズの少なさだけで判断しない
- 処理を重ねすぎない:複数のノイズ除去を同時に強くかける前に、1つずつ有効にして違いを聴きます。
- 場面ごとに確認する:静かな部屋と屋外など、ノイズの性質が変わる区間は分けて調整します。
- 声を残す:完全な無音を目指すより、説明の言葉が自然に聞き取れるかを優先します。
- 完成ファイルでも確認する:利用できるライセンスで短く書き出し、ヘッドフォンと普段のスピーカーなどで聴いてみます。
ノイズを整えたら、声とBGMの音量調節を確認し、Final Cut Proの書き出し手順へ進んでください。音量の大きさとノイズの少なさは別々に確認しましょう。
まとめ:短い素材で必要な処理を見極めよう
RXは、録音後の音声を修復する選択肢です。まずは気になるノイズを特定し、Voice De-noiseなどの必要な機能を控えめに使い、原音と比べてみましょう。版を選ぶときは、必要な機能、単体エディタの有無、対応環境を確認すると判断しやすくなります。
Final Cut Pro公式サイトはこちら
https://www.apple.com/jp/final-cut-pro/
聞きやすい動画を、役立つ講座にまとめたい方へ
聞きやすい音に整えたら、次は「誰に、何を、どの順番で伝えるか」も考えてみてください。あなたの知識や経験を動画講座にまとめたい方へ、無料電子書籍「売れるコンテンツの作り方ガイドブック」をご用意しています。受講者が必要としている内容を整理するヒントとして活用してください。
メールアドレスをご登録いただくと、無料電子書籍と、その後のお役立ち情報・講座のご案内をメールでお届けします。
この記事の内容を動画で学びたい方はこちら
※動画は私が2024年に解説した内容です。実演時の製品と現在のRX 12では、機能構成や対応環境が異なるため、購入・導入前には上の更新した本文もご確認ください。
関連記事はこちら
この記事がお役に立ちましたら、下のボタンから当ブログを Google の「優先する情報源」に追加できます。
次回から Google 検索で記事を見つけやすくなります。