
「イーロン・マスク氏が率いるxAIから、新しいAI『Grok-4』が登場したらしい」
「なんでも、ChatGPTやGeminiを超える性能だとか…」
今、AI業界やSNSでそんな話題を目にしたことがあるかもしれません。新しい強力なツールが登場したと聞けば、ビジネスに活用したいあなたが気にならないはずがありませんよね。
ですが同時に、こうも思いませんか?
「でも、それって本当なのだろうか?」
「インフルエンサーたちが再生数稼ぎのために煽っているだけじゃないの?」
ネット上の評判だけでは、その実力は分かりません。特に、私たちのような個人事業主や中小企業の経営者にとっては、「実際に自分のビジネスで使えるのかどうか」が何よりも重要です。
そこで今回は、私が普段のマーケティング業務で使っているプロンプトをそのまま使い、このGrok-4の性能を忖度なしで徹底的にレビューしてみました。
この記事では、巷の評判や表面的な機能紹介だけでは見えてこない、Grok-4のリアルな実力に迫ります。果たしてGrok-4は、私がメインで使っているGeminiやClaudeを覆すほどの革命的なツールなのでしょうか?
広告文の作成からランディングページの構築まで、具体的なタスクを通して見えてきた「正直な感想」を、あなたにお伝えします。
Grok-4とは?料金と使い方をサクッと解説

まず、Grok-4がどんなAIで、どうすれば使えるのかを簡単におさらいしておきましょう。
Grok-4は、あのイーロン・マスク氏が率いるxAI社が開発した最新の言語モデルです。大きな特徴として「リーゾニング(推論)」能力が大幅に強化されており、回答を出す前によく”考える”ことで、以前のモデル(Grok-3)と比べて性能が10倍にもなっている、と謳われています。
このGrok-4を使うには、有料プランへの加入が必要です。
料金プランと機能の違い

Grokにはいくつかのプランがあります。公式サイト(grok.com)でも無料で使えますが、その場合は旧モデルしか利用できません。最新のGrok-4を使うにはアップグレードが必要です。
- Super Grokプラン
- 料金: 月額30ドル(年払いで300ドル)
- 機能: これに加入すると、標準のGrok-4が使えるようになります。
- Super Grok Heavyプラン
- 料金: 月額300ドル(年払いで3000ドル)
- 機能: 4体のGrokエージェントが同時に思考し、回答をまとめてくれるという、さらに強力なモデルが利用可能になります。月額4万5000円近くと非常に高額で、正直、ほとんどの人にとっては現実的ではないかもしれませんね。
どうやって使う?3つの利用方法

Grok-4を実際に使う方法は、主に3つあります。
- 公式サイト(grok.com)で契約する
- 最もスタンダードな方法です。ドル建てでの決済になります。
- X(旧Twitter)で契約する
- 「X Premium Plus」という月額6,080円のプランに加入すると、Super Grokプラン相当の機能が使えるようになります。
- Poeなどのサードパーティーツール経由で使う
- 私自身も普段から様々なAIモデルを試すためにPoeというツール(月額20ドル程度)を契約しているのですが、その中でGrok-4も利用できます。
- 今回は、すでに契約済みのこのPoeを使って、Grok-4の性能を確かめてみました。公式API経由なので、性能に差はないはずです。

【徹底比較】Grok-4の実力をマーケティング業務で検証

さて、ここからが本題です。
私が普段、クライアントの広告文を作成したり、自社の電子書籍のLPを作ったりする際に実際に使っているプロンプトを、Grok-4と他の主要なAIモデルに投げて、そのアウトプットを比較してみました。
「AIはどれも同じようなものでしょう?」と思うかもしれませんが、実は得意なことや文章のクセが全然違うんです。今回はその違いを、リアルな業務を通して浮き彫りにしていきます。
比較検証①:Meta広告の文章作成

まずは、私の電子書籍「AIツール大全」を宣伝するためのMeta(Facebook)広告の文章を考えてもらいました。
比較対象として、Grok-4の他に、最近性能が高いと評判の「DeepSeek-R1」、おなじみの「Claude Sonnet 4」、そして私がメインで使っている「Gemini 2.5 Pro」にも同じプロンプトを投げています。
Grok-4の回答は…「悪くはないけど、物足りない」
Grok-4が生成した広告文がこちらです。

- 見出し:「AIツール100選 無料ガイド」「AI迷子脱出 無料電子書籍」
- メインテキスト:「AIツールが多すぎて選べないあなたへ。(中略)ビジネスを低コストで加速させましょう」

悪くはないんです。悪くはないんですが…「加速させましょう」といった表現が、少し前のChatGPTでよく見たような、ちょっと表面的な、”AIっぽい”言葉に感じられませんか?
全体的に「無料」を押しすぎていて、バリエーションも乏しい印象です。
他のAIと比較すると、その差は歴然
一方で、他のAIはどうだったかというと…

- DeepSeek-R1: 「業者不要!AIで売上アップする方法」といった、より具体的なベネフィットを提示する見出しを作成。Grok-4より良いかもしれません。

- Claude Sonnet 4: 「そんな風に悩んでいませんか?ChatGPT、Claude、Midjourney、Sora…」と、具体的なツール名を挙げながら読者の悩みに深く共感する文章を生成。これはかなりグッときました。


- Gemini 2.5 Pro: 「AIで仕事が9割終わる方法」「ChatGPTはもう古い?最新AI」など、思わずクリックしたくなるような、多様な切り口の見出しを10パターンも提案。さらに、「悩み共感型」「ストーリー共感型」など、文章の型まで変えて5パターンのメインテキストを作ってくれました。



こうして比べてみると、Grok-4の提案が少し単純に見えてしまいます。
広告文のように、短い言葉で心を掴む必要がある場面では、ClaudeやGeminiが見せたような「切り口の多さ」や「共感力の高さ」が、より重要になると感じましたね。
比較検証②:長文プロンプトでのランディングページ(LP)作成

次に、さらに負荷の高いテストをしてみました。
私の電子書籍「AIツール大全」の原稿、約12万文字をまるごとAIに読み込ませ、「この内容を元に、書籍ダウンロードを促すランディングページ(LP)の文章と、そのページ自体のコードを作成してください」という、かなり複雑なプロンプトです。

このテストでは、AIの「長文読解能力」と「指示の理解度」、そして「デザインセンス」が問われます。
Grok-4の致命的な欠点?指示を理解してくれない…
ここで、Grok-4に少し気になる点が見られました。
実はプロンプトの中で、「まず内容を理解したら、いきなり文章を書かずに『理解できた』とだけ教えてください」という指示を加えていたんです。
しかし、Grok-4はその指示を無視して、いきなりLPの文章を書き始めてしまいました。

- Grok-4が書いたコピー: 「たった数時間で業務を劇的に効率化 最新AIツール大全 非エンジニアでも即活用できるAIの秘密兵器」
悪くないコピーに見えるかもしれませんが、こちらの指示を正しく理解できない、というのはビジネスで使う上で少し不安が残りますよね。
生成されたLPのデザインも比較
さらに、生成されたLPのコードをプレビューして、デザインも比較してみました。

- Grok-4が作ったLP:
- 正直に言うと、少しダサいです…。一昔前のセールスレターのような、グラデーションもないシンプルなボタンで、素人っぽさが否めません。
- 正直に言うと、少しダサいです…。一昔前のセールスレターのような、グラデーションもないシンプルなボタンで、素人っぽさが否めません。
- Gemini 2.5 Proが作ったLP:


- Grok-4とは対照的に、はるかにモダンでおしゃれなデザインでした。背景色が変わったり、箇条書きがブロックで分かれていたりと、今風のLPになっています。コピーも「もうAIツール選びで、あなたの大切な時間とお金を無駄にするのはやめませんか?」と、心に響くものでした。
- Claude Sonnet 4が作ったLP:

- デザインはGeminiほどではないものの、Grok-4よりは洗練されています。文章も質が高く、十分実用的です。
この検証から、Grok-4は複雑な指示の理解や、クリエイティブなデザイン提案がまだ苦手なようだ、ということが見えてきました。
結論:現時点では、Grok-4を急いで導入する必要はない
ここまで、具体的なマーケティングタスクを通してGrok-4の性能を見てきました。
私の正直な結論を言うと、「Grok-4は、他の最新AIと比べてまだ周回遅れの感が否めない」というものです。
確かに、以前のモデルよりは性能が向上しているのでしょう。しかし、今回比較したGemini 2.5 ProやClaude Sonnet 4のようなAIたちが、すでに遥か先を走っている印象です。
- 文章のバリエーションや切り口の豊かさ
- 複雑な指示に対する正確な理解度
- コピーライティングの質やデザイン性
これらの点で、Grok-4があえて他より優れている、と感じる場面は残念ながらありませんでした。
今、SNSやYouTubeで「Grok-4はすごいぞ!」という声が大きくなっていますが、もしかしたら、それは再生数やインプレッションを稼ぎたい一部のインフルエンサーによるポジショントークも含まれているのかもしれません。
もちろん、これはあくまで私の使い方、特にマーケティングやセールスの文章作成という分野に限った話です。研究や計算など、他の分野では素晴らしい性能を発揮する可能性は十分にあります。
しかし、もしあなたが私と同じように、「ビジネスのための文章作成やクリエイティブ制作」にAIを活用したいと考えているのであれば、現時点ではGrok-4に高いお金を払ってまで導入を急ぐ必要はない、というのが私の見解です。
まとめ:あなたのお仕事で本当に役に立つAIはどれか?
今回は、話題の新AI「Grok-4」を、GeminiやClaudeといった他の主要AIと徹底的に比較してみました。
その結果、広告文作成やLP作成といった私のユースケースでは、Grok-4よりもGemini 2.5 ProやClaude Sonnet 4の方が、より質の高いアウトプットを出してくれるということが分かりました。
Grokもこれから進化を続け、2025年には動画生成機能なども追加されるロードマップが示されています。しかし、ライバルであるGoogleやAnthropic、OpenAIも、それ以上のスピードで進化を続けていくでしょう。
大切なのは、話題性や新しいという理由だけでツールに飛びつくのではなく、「本当に自分のビジネスに貢献してくれるのか?」という視点で、冷静にその価値を見極めることです。
今回の検証が、あなたのAIツール選びの参考になれば幸いです。
Grok公式サイトはこちら
今回筆者がGrok 4を使ったAIツール「Poe」はこちら
P.S.
私がこれまで100個以上のAIツールを実際に試し、本当に使えるツールだけを厳選してまとめた電子書籍「最新AIツール大全」を無料でプレゼントしています。
「どのAIを使えばいいか分からない…」
「AIをビジネスに活用して、コストを下げながら利益を伸ばしたい」
そうお考えでしたら、ぜひ一度手に取ってみてください。あなたのビジネスを加速させるヒントが、きっと見つかるはずです。
また、もしあなたがGrok-4を使ってみて、「こんな使い方をしたら、Geminiより良い結果が出たよ!」といった体験談があれば、ぜひ教えていただけると嬉しいです。