動画制作のハードルを下げる新たなAIツール「Vidu」(ヴィドゥー)が注目を集めています。月額無料プランで80クレジットが付与され、約20本の動画が生成可能。中国の生数科技と清華大学が共同開発したこのツールは、日本語でのプロンプト入力にも対応し、アジア人の表現が比較的自然な点が特徴です。ただし、画質や動きの自然さには改善の余地があり、商用利用には有料プランが必須です。本記事では、実際の使用体験をもとに、Viduの機能、料金プラン、活用シーン、そして注意点まで詳しく解説します。動画マーケティングに取り組みたい事業主の方は、ぜひ最後までお読みください。
なぜ今Viduが注目されているのか
オンラインマーケティングで成果を出すために、動画コンテンツの重要性が増しています。しかし、専門的なスキルや高額な制作費用が必要となり、多くの事業主が動画制作に二の足を踏んでいるのが現状です。
そんな中、注目を集めているのが中国の生数科技(Shengshu Technology)と清華大学が共同開発した動画生成AI「Vidu」(ヴィドゥー)です。
Viduは、U-ViTと呼ばれる革新的な技術を採用しています。この技術は大まかな画像から徐々に細部を書き足していく「拡散モデル」と、正確な文脈理解を可能にする「トランスフォーマーモデル」を組み合わせることで、よりリアルでダイナミックな動画生成を実現しています。
特筆すべきは、無料プランでも1カ月に80クレジットが付与され、約20個の動画を生成できる点です。これにより、初期費用をかけずに動画制作を始められます。
Vidu(ヴィドゥー)の基本機能
Viduには3つの主要な動画生成機能があります:
- Image to Video:1枚の画像から動画を生成
- Reference to Video:最大3枚の画像を参照して動画を生成
- Text to Video:テキストのみから動画を生成
インターフェースは英語と中国語のみの対応ですが、直感的な操作が可能なUIを採用しているため、翻訳機能を使えば日本語話者でも簡単に利用できます。
料金プランと基本機能
動画制作に本格的に取り組む前に、Viduの料金プランについて詳しく見ていきましょう。
フリープラン(無料)の特徴
- 毎月80クレジットが付与
- 4秒までの動画生成が可能
- 透かし入りの出力
- 同時に1つのタスクのみ実行可能
有料プランのラインナップ
スタンダードプラン(月額9.99ドル)
- 毎月320クレジット付与
- 4秒または8秒の動画生成
- 透かしなしの出力
- 同時に2つのタスク実行が可能
アドバンスドプラン(月額29.99ドル)
- 毎月880クレジット付与
- 高品質な動画生成
- 同時に3つのタスクが実行可能
プレミアムプラン(月額99.99ドル)
- 毎月2360クレジット付与
- 最高品質の動画生成
- 同時に4つのタスクが実行可能
クレジット制度について
Vidu(ヴィドゥー)は1本の動画生成に約4クレジットを消費します。つまり、無料プランの場合、1カ月に約20本の動画を生成できる計算になります。
有料プランのメリット
- 商用利用が可能
- 透かしなしの出力
- 解像度のアップスケーリング機能
- 優先的な生成処理
なお、すべての有料プランには年間契約オプションがあり、20%の割引が適用されます。
動画生成の実践レビュー
実際にVidu(ヴィドゥー)で動画を生成してみた結果をご紹介します。
画質と表現力について
- 4秒程度の短い動画でも、人物の表情や動きに不自然さが目立ちます
- 特に指先や顔の細部において、画質の粗さが気になります
- パソコンなどの小物の表現が古めかしく、現代的なオフィスシーンの表現が難しい
プロンプト入力の特徴
- 日本語でのプロンプト入力にも対応
- 日本語入力時は自動的にアジア系の人物が生成される傾向
- 英語入力の場合は欧米系の人物が生成される
- プロンプトの言語による品質の大きな差は見られない
人物表現の特徴
- ビジネスシーンでよく使用される「パソコン作業」などの一般的な動作は比較的自然
- 複雑な動きや細かい表情の変化を含む動画は不自然になりやすい
- 人物の服装や髪型は現代的だが、背景や小物は時代遅れな印象
他のAIツールとの比較
現在市場にあるRunwayやPikaなどの動画生成AIと比較すると、以下の点で改善の余地があります:
- 全体的な画質の解像度
- 動きの滑らかさ
- 人物表現の自然さ
- 背景や小物の現代性
ただし、無料プランで気軽に試せる点や、アジア人の表現が比較的自然な点は、日本のビジネス用途では有利に働く可能性があります。
使用上の注意点
Viduを実際のビジネスで活用する前に、いくつかの重要な注意点があります。
商用利用における制限事項
- 無料プランでの商用利用は禁止
- スタンダードプラン以上で商用利用が可能
- 生成された動画の著作権は利用者に帰属
- 透かしの除去には有料プランが必須
技術的な制限と課題
- 動画の長さは最大8秒まで
- 解像度は1080p が上限
- 複数人が登場するシーンは不自然になりやすい
- 細かい指示や複雑な動きの表現は困難
最適な活用シーン
向いている用途:
- 短いSNS広告
- 製品紹介の冒頭動画
- ウェブサイトのヘッダー動画
- シンプルな説明動画
避けるべき用途:
- 長尺の説明動画
- 精密な動きが必要なデモ映像
- 複数人物の対話シーン
- 高品質な商品PR動画
実践的な活用のポイント
効果的な使い方
- シンプルなプロンプトを心がける
- 人物は1人のシーンに限定
- 基本的な動作を中心に指示
- 生成された動画は必ず確認・選別
- 以下、Viduを使って実際に作成した動画のサンプルを貼っておきます。動画は全てMidjourneyで作成した静止画をVideを使ってImage to Videoで動画化しました。
↑どれも全体的に元の静止画から大胆にアングルを変えたり動きがついた動画になっているのが特徴です。プロンプトはどれもFight(戦え)やSmile(笑って)などのシンプルなプロンプトだけにも関わらずです。
RuwayやKlingやDream Machineなどで同じプロンプトを使ってももっと動きは少ないとは対照的でした。ただし、動きがついた動画のクオリティは下がりがちですね。(動いた分だけAIが生成した動画となるので、元の静止画のクオリティとは差が出てしまうのは仕方がないですが。。)
コスト効率を上げるコツ
- 類似シーンをまとめて生成
- テスト生成は無料プランで実施
- 商用利用時は年間プランの検討
- クレジットの使用状況を定期確認
これらの制限事項を理解した上で、用途に応じて適切なプランを選択することが重要です。
まとめ:Vidu(ヴィドゥー)の可能性と限界
現時点でのViduの強み
- 無料プランで手軽に試せる月80クレジット制
- 日本語でのプロンプト入力に対応
- アジア人の表現が比較的自然
- 4秒の動画生成が約30秒で完了する高速処理
活用に適したシーン
- SNSでの短尺動画広告
- ウェブサイトのヘッダー動画
- 商品紹介の冒頭シーン
- シンプルな説明動画の作成
現状の課題点
- 画質の粗さや不自然さが目立つ場合がある
- 複数人物が登場するシーンは破綻しやすい
- 背景や小物の表現が古めかしい
- 最大16秒までの動画長制限
今後の展望
中国のShengshu Technologyと清華大学が共同開発したViduは、独自のU-ViT技術により、今後さらなる進化が期待されます。特に、キャラクターの一貫性やアニメ風生成機能の追加など、すでに機能の拡張が進んでいます。
ビジネスでの活用を検討する場合は、まず無料プランで十分に検証を行い、用途に合わせて有料プランへのアップグレードを検討することをお勧めします。動画マーケティングの新たな可能性を開くツールとして、今後の発展が注目されます。
Vidu(ヴィドゥー)公式サイトはこちら