
AIアバターの活用でオンラインマーケティングを劇的に変えられる時代がやってきました。この記事では、手頃な価格で注目を集めるD-ID AIアバターツールを徹底検証。写真から動画生成、カスタムアバター作成、多言語翻訳、AIエージェント機能など、実際に試した体験をもとにメリットとデメリットを包み隠さず解説しています。特に日本語対応の課題や競合ツールとの品質差など、導入前に知っておくべき重要ポイントをすべて網羅。低コストでAIアバターを活用したいあなたの判断材料として、ぜひ最後までお読みください。
はじめに
オンラインビジネスで差をつけたいなら、AIアバターの活用が今や必須スキルになっています。
「動画コンテンツを作りたいけど、自分が映るのは恥ずかしい…」
「外国語の市場に進出したいけど、言語の壁が高すぎる…」
「カスタマーサポートを自動化して24時間対応させたい…」
こんな悩みを持っていませんか?
AIテクノロジーの進化により、今やスマホ一台でプロ並みの映像制作ができる時代になりました。特に注目を集めているのが、静止画から動く人物を生成したり、実際の映像を別の言語に翻訳したりできる「AIアバターツール」です。
今回は、AIアバター作成ツールの一つである「D-ID」に実際に触れて、その機能や品質、使い勝手について詳しく検証してみました。このレビューを通して、あなたのビジネスやコンテンツ制作にD-IDが適しているかどうかの判断材料にしていただければ幸いです。
D-IDとは?基本情報と主な機能の概要

D-IDは比較的安価な月額料金で利用できる、AIを活用したアバター生成・動画翻訳ツールです。
D-IDの主な機能は以下の4つに分けられます:

- アバタービデオ作成:静止画の写真をアップロードして、話す動画に変換
- カスタムアバター生成:自分の動画をベースにしたAIアバターの作成
- ビデオトランスレーション:既存の動画を別の言語に自動翻訳
- AIエージェント機能:特定の知識や指示を与えたカスタマイズ可能なAIアバター
それぞれの機能について、実際に使用した体験と評価を詳しく見ていきましょう。
実際に使ってみた:写真から動画の生成機能
たった1枚の写真から動く映像を作れる技術は、まさに魔法のよう。でも実際の出来栄えはどうなのでしょうか?
D-IDの最も基本的な機能である「写真から動画を生成する」機能を試してみました。この機能を使えば、静止画の人物が話しているように見える動画を簡単に作成できます。
写真アップロードの手順

まず、D-IDにアクセスしてアカウント作成から始めます。アカウント作成時には簡単なアンケートに答える必要がありますが、特に難しいものではありません。
アカウント作成後は「アバタービデオ」を選択し、「クリエイトアバター」から写真をアップロードします。私は自分のプロフィール写真を使ってみました。
アップロード後は以下の設定が可能です:
- スクリプト(喋らせたいテキスト)の入力
- 背景の選択
- テロップの挿入
- 図形や吹き出しの追加
操作感としては、HeyGenやSynthesiaといった他のAIアバターツールと似ていて、特に迷うことはありませんでした。
生成された動画の品質と評価
さて、肝心の生成結果はというと…正直に言って期待はずれでした。
生成された動画では:
- 顔の動きが不自然
- 口の動きと音声が合っていない
- 全体的に「不気味の谷」的な違和感がある
特に日本語での利用においては、音声生成のオプションが限られており、日本語を選択するには有料プランへのアップグレードが必要でした。無料版では中国語っぽい発音になってしまい、実用には厳しい状況です。
同様の機能を持つ「Akool(アクール)」というツールと比較すると、Akoolの方が自然な動きを実現していました。Akoolでは顔だけでなく体全体が動いたり、背景の人物も動いたりと、より生命感のある結果が得られます。
D-IDの無料プランでは5分の動画生成が可能ですが、品質を考えると実用的には厳しいと言わざるを得ません。日本語環境での使用を考えている方には、現時点ではあまりおすすめできない結果となりました。
カスタムアバター作成機能の検証

自分自身のアバターを作れるという機能は魅力的ですが、実際の使い勝手はどうなのでしょうか?
D-IDには自分の動画をアップロードして、それをベースにカスタムアバターを作成する機能があります。これができれば、自分の分身を作り出し、様々なコンテンツ制作に活用できるはずです。
設定方法と手順
カスタムアバターの作成は「クリエイトアバター」の「アップロードフッテージ」から行います。自分の動画をアップロードした後、いくつかの確認事項があります:
- アップロードする動画が前方を向いているか
- 静かな環境で録画されているか
- アバター生成に使用することへの同意
これらの確認後、同意書の朗読を録画する必要があります。英語で表示される文章を読み上げることで、本人確認と同意の証明を行います。
ここで最初の大きな壁に直面しました。
日本語対応の課題

残念ながら、同意書の朗読は英語でのみ対応しており、日本語での読み上げには対応していませんでした。何度か試してみましたが、私の英語発音が認識されず、カスタムアバターの作成は断念せざるを得ませんでした。
この点は日本人ユーザーにとって大きな障壁になるでしょう。英語に不慣れな方や、発音に自信がない方にとっては、最初のステップでつまずいてしまう可能性が高いです。
欧米向けに開発されたツールであることは理解できますが、グローバル展開を目指すなら日本語を含むアジア言語へのサポート強化が望まれます。
D-IDの動画翻訳機能を試す

あなたの動画を多言語化できれば、グローバル展開への大きな一歩になります。D-IDの翻訳機能はその夢を叶えてくれるのでしょうか?
D-IDには既存の動画を別の言語に翻訳する「ビデオトランスレーション」機能があります。自分の日本語動画を英語や他の言語に翻訳できれば、言語の壁を超えたコンテンツ展開が可能になります。
日本語から英語への翻訳精度
自分の日本語動画をアップロードし、英語に翻訳するテストを行いました。無料プランでは最初の30秒のみ翻訳可能です。
翻訳結果は言語変換としては悪くないものの、アバターの見た目に問題がありました。顔が歪んだり球体のように不自然に表示されるなど、視覚的な違和感が強く残りました。
内容は伝わるものの、プロフェッショナルな印象を与えるには厳しい品質と言えるでしょう。
欧米言語間の翻訳品質
一方で、D-IDの公式サンプル動画を見てみると、英語からドイツ語やフランス語への翻訳は非常に自然で違和感がありません。欧米言語間の翻訳に関しては、かなり高品質な結果が得られるようです。
実際にサンプル動画の翻訳を聞いてみると、まるでネイティブスピーカーが話しているかのような自然さがありました。これは欧米系言語に最適化されているためと考えられます。
このことから、D-IDは日本語から欧米言語への翻訳ツールとしては一定の価値があると言えるでしょう。日本語のコンテンツを海外展開したい場合には、検討の余地があります。
AIエージェント機能の可能性\

カスタマーサポートを自動化し、24時間365日応対できるバーチャルアシスタントがあれば、あなたのビジネス運営はどれだけ楽になるでしょうか?
D-IDには「エージェント」という機能があり、これは単なる動画生成を超えた可能性を秘めています。自社の商品情報やFAQ、カスタマーサポート情報などをAIに学習させ、顧客と対話できるバーチャルアシスタントを作ることができるのです。
カスタマーサポートへの活用例
エージェント機能を使えば、以下のようなことが可能になります:
- 自社サイトに設置したアバターが顧客からの質問に自動回答
- 商品説明や使い方の説明を24時間自動で行う
- よくある質問への回答を人間のオペレーターの代わりに実施
設定方法も比較的シンプルで、アバターを選択し、AIに学習させたい「ナレッジソース」(会社情報やFAQなど)を入力するだけです。日本語ナレーターの「DAICHI」も選択できるため、日本語対応も可能です。
これは実際のビジネスシーンでも活用できる機能と言えるでしょう。
実用化するための条件
ただし、この機能を実用的なレベルで活用するには、いくつかの条件があります:
- 十分な情報量の提供:AIが適切に回答するためには、質の高い情報を十分に与える必要があります
- 適切な設定と調整:初期設定だけでなく、実際の対話内容を分析して継続的に改善する必要があります
- 有料プランへのアップグレード:実用的な使用には無料プランの制限を超える必要があります
D-IDのエージェント機能は、アバターの視覚的な品質に課題はあるものの、テキストベースのチャットボットと比較して親近感のあるカスタマーサポートを実現できる点で魅力的です。
D-IDの料金プラン比較

コストパフォーマンスは導入判断の重要な要素。D-IDの各プランは何が違うのでしょうか?
D-IDの料金プランは以下の4つに分かれています:
- 無料プラン:基本機能のお試し、5分の動画生成が可能
- ライトプラン:月額5.9ドル(約900円)
- プロプラン:月額29ドル(約4,350円)
- アドバンスドプラン:月額196ドル(約29,400円)
無料プランでできること
無料プランでは以下のことが可能です:
- 5分の動画生成
- 1つのカスタムアバター作成(成功すれば)
- ビデオトランスレーションの30秒お試し
- 基本的なエージェント機能
実験や検証には十分ですが、実用的な利用には制限が大きいと言えます。
有料プランの特徴と費用対効果
月額5.9ドルから始まる有料プランは、競合する他のAIアバターツールと比較するとかなりリーズナブルです。他のツールは最低でも月額50ドル前後することが多いため、価格面では大きなアドバンテージがあります。
しかし、価格の安さと品質はトレードオフの関係にあるようです。前述したように、アバターの自然さや日本語対応には課題があります。
コストを重視するなら検討の余地はありますが、クオリティを重視するならHeyGen、Synthesia、Akoolなどの競合ツールを検討した方が良いでしょう。
重視するなら他のツールを選ぶべきというのが、現時点での結論です。
D-IDの活用シーン:こんな場面でおすすめ

「自分のビジネスにD-IDは合うのか?」具体的なユースケースを考えてみましょう。
D-IDは万能ツールではありませんが、特定のシーンでは価値を発揮する可能性があります。以下は、D-IDが活躍できる場面です。
1. グローバルコンテンツの展開
日本語のコンテンツを海外向けに展開したい場合、D-IDの動画翻訳機能は検討に値します。特に欧米言語への翻訳品質は高く、低コストでコンテンツの多言語化が可能です。
例えば:
- YouTubeチャンネルの英語版作成
- オンライン講座の多言語展開
- 海外向け商品紹介動画の制作
2. 低予算でのAIカスタマーサポート実験
カスタマーサポートの自動化を低コストで試してみたい場合、D-IDのエージェント機能は良い入門ポイントになります。高額な投資をする前に、AIアバターの効果を検証できます。
例えば:
- よくある質問に答えるサイト上のバーチャルアシスタント
- 商品の使い方を説明する動画キャラクター
- 24時間対応の初期問い合わせ窓口
3. 素早いプロトタイピング
アイデアの検証段階や企画書用のサンプル作成には、D-IDの低コストと手軽さが役立ちます。本格的な制作前の概念実証に活用できます。
例えば:
- 企画提案用のコンセプト動画
- SNS広告のA/Bテスト用素材
- プレゼンテーション用のデモ映像
D-IDは完璧なツールではありませんが、特定の条件下では十分な価値を提供できると言えるでしょう。特に低予算での実験や、品質よりも量や多言語展開を重視する場合には選択肢になり得ます。
まとめ:D-IDの評価と今後の展望
最終的な質問は「D-IDは使う価値があるか?」。ここまでの検証結果をまとめます。
D-IDというAIアバーツールを実際に試してきた結果、いくつかの明確な長所と短所が見えてきました。
D-IDの長所
- 低価格:月額5.9ドルからという他の競合ツールと比較して非常に手頃な価格設定
- 動画翻訳機能:特に欧米言語間での翻訳品質が高く、多言語コンテンツ制作に有用
- AIエージェント機能:カスタマーサポート自動化などの可能性を秘めた独自機能
- 操作の簡便さ:直感的なインターフェースで初心者でも扱いやすい
D-IDの短所
- アバター品質の低さ:生成されるアバターの動きや表情が不自然で実用性に欠ける
- 日本語対応の弱さ:日本語音声生成や日本語での操作に課題がある
- カスタムアバター作成の難しさ:英語での同意書朗読が必要など、日本人ユーザーには障壁がある
- 競合ツールと比較して見劣り:HeyGenやAkoolなど他ツールと比べて品質面で劣る
総合評価
⭐⭐★★★(5段階中2)
現時点でのD-IDは、日本人ユーザーにとっては特に推奨できるツールとは言えません。価格の安さは魅力ですが、品質や日本語対応の弱さが大きなマイナスポイントになっています。
特にアバターの自然さを重視する場合は、より高品質な他のツールを選択すべきでしょう。ただし、低予算での多言語展開や実験的な用途には検討の余地があります。
今後に期待すること
D-IDは比較的歴史のあるツールでありながら、日本語環境での使いやすさには改善の余地が大きいです。今後以下の点が改善されることを期待します:
- 日本語対応の強化:音声生成や操作インターフェースの日本語対応
- アバター品質の向上:より自然な表情や動きの実現
- カスタムアバター作成プロセスの簡素化:言語障壁の低減
最後に
AIアバーツール選びでは、自分のニーズと予算に合ったツールを選ぶことが重要です。D-IDは完璧なツールではありませんが、特定の用途では価値を発揮する可能性があります。
もし高品質なAIアバターを求めるなら、現時点ではHeyGenやAkoolなどの競合ツールを検討することをおすすめします。一方で低コストで実験的に始めたい場合は、D-IDの無料プランから試してみるのも良いでしょう。AIアバーツールは日々進化しています。今後のD-IDの発展にも注目していきたいと思います。
D-ID公式サイトはこちら