
AIを使って文章を書いてもらっている方の中には、こんな経験をした方も多いのではないでしょうか。
「あれ、この前AIに書いてもらった原稿どこいったっけ…」
GeminiやClaude、ChatGPTでチャットしながら書いてもらった文章を、結局コピペし忘れてどこかに消えてしまった。過去のチャット履歴を必死に探し回る。見つからない。また最初から書いてもらう…。
私ヒルトルも、正直このような「コピペ地獄」に何度も陥ってきました。
でも最近、この問題を解決してくれる最強のツールの組み合わせを見つけたんです。
それが、GoogleのAntigravity(アンチグラビティ)とObsidian(オブシディアン)という2つのツールです。
今回は、この2つのツールを連携させて、AIに効率よく書籍原稿を書いてもらう方法について詳しく解説していきます。
なぜAIに書いてもらった原稿は迷子になるのか

まず、そもそもなぜこんな問題が起きるのか、少し整理してみましょう。
今までの一般的なやり方は、GeminiやClaudeなどのAIツールを開いて、チャット欄にプロンプトを入力して、AIに文章を書いてもらうというものでした。
これ自体は悪くありません。AIは賢いですし、ちゃんと文章を書いてくれます。
問題は、その後なんです。
AIが書いてくれた原稿は、そのままだとAIツール上に保存されたままになります。チャットの履歴として残っているだけ。フォルダに整理されているわけでもなければ、ファイルとして保存されているわけでもない。
だから「あの原稿どこいったかな」となって、過去のチャット履歴を延々とスクロールして探すハメになるわけです。
私もこれまで「AIに書いてもらったらすぐにコピペして、あなたが普段使っているテキストエディタに保存しましょうね」とお伝えしてきました。
でも正直、これがけっこう面倒くさいんですよ。
- いちいちコピペするのが手間
- コピペし忘れることがある
- どのファイルにどの原稿を保存したか分からなくなる
- 過去に書いた文章をAIに読み込ませたい時、また探してコピペしなきゃいけない
この「コピペ地獄」から抜け出す方法はないものか…と私もずっと考えていました。
GoogleのAntigravity(アンチグラビティー)という新しい選択肢

そこで出会ったのがAntigravity(アンチグラビティ)です。
「なんだその変な名前は」と思った方もいるかもしれませんね。私も最初はそう思いました。
Antigravityは、Googleが開発したAI搭載のテキストエディタです。
ちょっと聞き慣れない言葉かもしれませんが、要するに「AIが最初から組み込まれている、文章やコードを書くためのアプリ」です。
似たようなツールでCursor(カーサー)というのをご存知の方もいるかもしれません。Cursorは、VS Codeというエンジニア向けのテキストエディタをベースに、AIを組み込んだものです。AIにコードを書いてもらったり、文章を書いてもらったりするために使っている方が増えています。
AntigravityはそのGoogle版だと思ってください。基本的な使い勝手はCursorとほぼ同じです。
Cursorをお使いの方はあえてAntigravityに乗り換える必要はありません。
ただ、Google AI Proに課金している方は、Cursorだと別契約で課金する必要があるのに対して、Antigravityなら追加課金することなく使うことができますので、Geminiを普段利用されている方にもお勧めしやすいと思います。
Antigravityを使うメリット

では、なぜわざわざAntigravityを使うのか。
一番のメリットは、AIが直接ファイルを作ってくれるということです。
今までのやり方だと、AIに文章を書いてもらう → コピペする → テキストエディタに貼り付けて保存する、という流れでした。
でもAntigravityを使えば、AIに「この内容で書籍を書いて」と指示するだけで、AIが自動的にファイルを作成して、そこに原稿を書き込んでくれるんです。
つまり、コピペする必要がない。
さらに、過去に書いたメルマガやブログ、電子書籍などのテキストファイルをAntigravityの中に保存しておけば、AIにそれを簡単に読み込ませることもできます。
「この過去の原稿を元にして、こういう書籍を書いて」という指示が、ファイル名を指定するだけで済むんです。いちいち原稿をコピペしてプロンプトに貼り付ける手間がなくなります。
無料で使えて、Gemini Pro契約者はさらにお得

Antigravityは無料でも使うことができます。
ただ、無料だとどうしてもAIを使える回数に制限があります。
もしあなたがすでにGoogle AI Pro(月額2,900円)に課金しているなら、さらに嬉しいことがあります。
Antigravity用に追加で課金する必要はなく、Gemini Proの利用枠をそのままAntigravityでも使えるんです。

つまり、月額2,900円でGeminiを使い倒している方は、追加料金なしでAntigravityも使い倒せるということ。
さらに驚くべきことに、Antigravityの中ではClaudeの最新モデルも使えてしまいます。
Claude Opus 4.5やClaude Sonnet 4.5といった高性能モデルが、Gemini Proの課金だけで使えるというのは、正直かなりお得です。
複数のAIツールに課金したくないという方には、これだけでもAntigravityを使う価値があるんじゃないかと思います。
Obsidian:AIと連携させる「第二の脳」

ここで、もう一つのツールObsidian(オブシディアン)を紹介します。
「また変な名前のツールが出てきた」と思われるかもしれませんが、ちょっと我慢して聞いてください。
Obsidianは、無料で使えるメモアプリです。
MacでもWindowsでも使えますし、iPhoneやAndroidにも対応しています。
私は今までUlysses(ユリシーズ)というアプリを使ってきましたが、これはMac専用でサブスク課金が必要でした。なかなかおすすめしづらかったんですよね。
でもObsidianなら完全無料で、しかもWindows・Macの両方で使える。
これからは、Obsidianをおすすめすることにしました。
Obsidianの役割

ここで重要なのは、Obsidian自体にはAI機能がないということです。
「え、じゃあなんでAIと一緒に使うの?」と思いますよね。
Obsidianの役割は、自分が今まで書き溜めた文章を保存しておく「保管庫」、いわば「第二の脳」です。
- 過去に書いたブログ記事
- メルマガの原稿
- 電子書籍の原稿
- 動画の台本
- 参考にしたい他の人の文章
こういったテキストデータを、フォルダ分けしてObsidianに保存しておくんです。
ObsidianとAntigravityを連携させる

ここからがポイントです。
ObsidianのフォルダをAntigravityで開くことができるんです。
どういうことかというと、Obsidianで作った「Vault」(保管庫)と呼ばれるフォルダを、そのままAntigravityで開けます。
すると、Obsidianに保存しておいた全てのファイルが、Antigravityからも見えるようになります。
つまり、こういうワークフローが可能になります:
- Obsidianに過去の原稿やプロンプトを保存しておく
- Antigravityでそのフォルダを開く
- AIに「この過去の原稿を参考にして書籍を書いて」とファイルを指定して指示する
- AIが新しいファイルを作って原稿を書き込む
- その新しいファイルはObsidianにも自動で反映される
ObsidianとAntigravityは同じフォルダを見ているので、どちらで作業しても自動的に同期されるんです。
なぜ2つのツールを使い分けるのか
「じゃあAntigravityだけ使えばいいんじゃないの?」と思われるかもしれません。
実は、私もそう思っていました。
でも使ってみて分かったのは、純粋に文章を書いたり編集したりする作業は、Obsidianの方がはるかに使いやすいということです。
Antigravityは元々プログラマー向けに作られたツールなので、どうしても文章執筆に特化しているわけではありません。
なので私のおすすめは、こういう使い分けです:
- AIへの指示やプロンプトを送る→ Antigravityを使う
- AIが書いてくれた原稿を自分で編集・修正する→ Obsidianを使う
両方のツールで同じファイルを開けるので、この使い分けがとてもスムーズにできるんです。
実際に4万3000文字の書籍原稿を書いてもらった

さて、ここからは実際にどうやってAIに書籍を書いてもらうのか、具体的な流れを見ていきましょう。
私が試した例では、「セールスファネル」というテーマで書籍を書いてもらいました。
準備するもの
- 書籍執筆用のプロンプト(Obsidianに保存しておく)
- 書籍のネタ元になる原稿(過去の講座の文字起こしなど)
この2つのファイルをObsidianに保存しておきます。
Antigravityでファイルを参照する

Antigravityを開いて、チャット欄に半角の「@」を入力すると、フォルダ内のファイル一覧が表示されます。
ここで「書籍執筆プロンプト」と「ネタ元の原稿」の2つのファイルを選択します。
あとはシンプルに「お願いします」とか「書いてください」と送るだけ。
AIは、指定されたファイルの内容を読み込んで、それを元に書籍の構成案を提案してくれます。
1章ずつ丁寧に書いてもらう

ここで一つコツがあります。
「いきなり全部書いて」と指示すると、内容がとても薄くなってしまうんです。
なので、私のプロンプトには「1章書けたらその都度見せてください」と入れています。
こうすると、AIが第1章を書き終わったら「確認してください」と言ってくれます。内容を確認して、OKなら「次もお願いします」と伝える。この繰り返しで、各章がしっかりとボリュームのある内容になります。
実際に私がやった例では、
- はじめに:約5,000文字
- 第1章〜第6章:それぞれ5,000〜10,000文字
で、合計約4万3000文字の原稿ができました。
一般的な書籍としては十分なボリュームです。
PDFへの書き出しも簡単

Obsidianには「PDFにエクスポート」する機能があります。
書き出してみたら、63ページのPDFになりました。

無料の電子書籍として配布するも良し、有料で販売するも良し、商品の特典としてつけるも良し。いろいろな使い方ができます。
今すぐ始めるためのステップバイステップガイド
「よし、自分もやってみよう」と思った方のために、具体的な導入手順をまとめておきます。
ステップ1:Obsidianをインストールする

- Obsidian公式サイトにアクセス https://obsidian.md/
- あなたのOS(Mac/Windows)に合ったバージョンをダウンロード
- インストールして起動
- 「保管庫を新規作成」でフォルダを作成(iCloudやOneDriveなどのクラウド同期フォルダ内に作ることを推奨)
- 設定から言語を日本語に変更


ステップ2:Antigravityをインストールする

- Google Antigravityの公式サイトにアクセス https://antigravity.google
- あなたのOS(Mac/Windows/Linux)に合ったバージョンをダウンロード
- インストールして起動
- 拡張機能から「Japanese Language Pack」をインストールして日本語化

ステップ3:ObsidianのフォルダをAntigravityで開く

- Antigravityのメニューから「フォルダを開く」を選択
- Obsidianで作成した保管庫(Vault)のフォルダを選択
- これでObsidianのファイルがAntigravityに表示される
ステップ4:プロンプトと原稿を準備する

- Obsidianに「書籍執筆プロンプト」のファイルを作成
- 過去に書いた原稿やネタ元になるテキストファイルも保存
- フォルダ分けして整理しておく
ステップ5:AIに書籍を書いてもらう

- Antigravityで@マークを使ってファイルを参照
- AIモデルを選択(Gemini 3 Flash、3 ProやClaude Opus 4.5がおすすめ)
- 「Planning」モードを選択して、じっくり考えさせる
- 1章ずつ書いてもらい、都度確認してOKなら次へ進む
こんな方には今はおすすめしません
ここで正直にお伝えしておきます。
本当の初心者には、このやり方は今はおすすめしません。
なぜかというと、新しいツールを2つも導入して使いこなすのは、それなりのハードルがあるからです。
もしあなたがまだGeminiやClaudeを使い始めたばかりなら、まずはそちらの公式アプリでチャットしながらAIの使い方に慣れることをおすすめします。
普通にコピペしてWordやPagesに保存する、というやり方でも全然問題ありません。
今回のAntigravity+Obsidianのやり方は、「もう少し効率的にAIと文章を書きたい」と思った方向けの応用編だと思ってください。
よくある質問
Q. Cursorを使っているのですが、Antigravityとどちらがいいですか?
A. どちらを使っても大丈夫です。CursorもAntigravityと同様に、Obsidianのフォルダを開いて連携できます。すでにCursorを使い慣れている方は、無理にAntigravityに乗り換える必要はありません。
Q. Google AI Proに課金していないのですが、使えますか?
A. 無料でも使えます。ただし、AIを使える回数に制限があります。本格的に書籍を書くなら、Google AI Pro(月額2,900円)への課金をおすすめします。
Q. ObsidianのSync(有料のクラウド同期機能)は必要ですか?
A. 必要ありません。iCloud(Mac)やOneDrive(Windows)、またはDropboxなど、すでにお使いのクラウドストレージにフォルダを作れば、無料でクラウド同期できます。
まとめ:コピペ地獄から卒業しよう

今回は、AntigravityとObsidianを連携させて、AIに効率よく書籍原稿を書いてもらう方法をご紹介しました。
ポイントをおさらいすると:
- Antigravity:GoogleのAI搭載テキストエディタ。AIが直接ファイルを作成・編集してくれる
- Obsidian:無料のメモアプリ。過去の原稿やプロンプトを保管する「第二の脳」として活用
- 両者を連携させることで、コピペ作業なしにAIと原稿を作成できる
- 1章ずつ書いてもらうことで、4万文字以上のボリュームのある書籍も作成可能
私自身、このワークフローに移行してから、AIとの文章執筆がかなり快適になりました。
もちろん、今すぐ導入する必要はありません。まずはGeminiやClaudeの使い方に慣れてから、「もっと効率化したい」と思ったタイミングで試してみてください。
次のステップ:まずは無料で試してみよう
ObsidianもAntigravityも、どちらも無料でダウンロードできます。
まずはインストールして、実際に触ってみることをおすすめします。
使いこなせるようになれば、AIを使った文章執筆の効率が格段に上がりますよ。
それでは、あなたのAIライティングが、より快適になることを願っています!
Google Antigravityのダウンロードはこちら(無料)
Obsidianのダウンロードはこちら(無料)
https://obsidian.md/